日本語センター
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1ぽん、2ほん、3ぼん
2015-08-31 Mon 14:01
ある日本語レッスンの1コマです。


ジョンさん:鉛筆が1ぽん、2ほん、3ぼん、4ぽん
新米先生:ジョンさん。「4ぽん」ではありません。「4ほん」です。
ジョンさん:4ほん、5ぼん
新米先生:ジョンさん。「5ぼん」ではありません。「5ほん」です。
ジョンさん:うわー!!! ぽん、ほん、ぼん」、分かりません

ジョンさん、困っていますね。
「ほん」なのか、「ぼん」なのか、「ぽん」なのか・・・と。
このような反応は、数え方の勉強を始めた外国人によく見られるものです。
そして、こんな外国人の反応を見た日本人も、「日本語の数え方は難しいよね」
と言います。

しかし、実際は・・・。
きちんとルールを教えてあげさえすれば、外国人の方は次の日にでも、
正しく使い分けることができるのです。


では、皆さん、この「ほん」と「ぼん」と「ぽん」。
どんなルールがあるか考えてみたことがありますか?
こんな質問をすると、「え~。なんだろう・・。」と戸惑う日本人は
とても多いです。


実は、この「ほん」、「ぼん」、「ぽん」にはこんなルールがあるのです。

1・6・8・10 + 
2・4・5・7・9 + 
3 + 
更に、

「ぽん」につながるときは、
その前の数字の最後の音を小さい「っ」に変えます

1(い)・6(ろ)・8(は)・10(じゅ)+ぽん

というように。


皆さん、どうでしょうか。
普段、意識せずに使っている日本語は、こんなにも論理的なルールを持っている
言葉なのです。
自分の母語を改めて見つめ直すことは、驚きと同時に、とても楽しいことだと
思いませんか?
今週は皆さんが使う「数え方」の言葉にどんなルールがあるのか、考えてみては
いかがでしょうか。
きっと、面白い発見があると思います。


◆◇◆ 次回(9/7)予告 ◆◇◆

ジョンさん:先生、「ほん・ぼん・ぽん」のルールは分かりました。
      でも、まだ分からないことがあります。
      日本人は、「フィンガーチョコレート1本、チロルチョコ1個、
      
ガーナチョコレート1枚」と言います。
      どうして、同じチョコレートなのに「1本、1個、1枚」と
      変えるのですか

新米先生:ジョンさん、それはですね・・・・。

さて、皆さん。
私たち日本人は「本、個、枚」をどう使い分けているのでしょうか。
考えてみてください。

答えは、来週月曜日に!



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言葉が通じないストレス
2015-08-26 Wed 12:09
日本語教育とは全く関係のないあるTV番組で、興味深い実験をしていました。
それは「人間が感じるストレス」を測定する実験。

ロシア語が全く分からないAさん、Bさん、Cさんの3名(日本人)が、
ロシア語の歌しかないカラオケボックスでロシア人と1時間一緒に過ごしたら、
どのぐらいのストレスを感じるか?という実験で、
次のように、少しずつ3人の条件を変えます。

①Aさんは1時間ずーっと黙ってロシア人たちのロシア語の歌を聞いている

②Bさんは時間ずーっと黙って、お菓子を食べることで現実逃避し
 ロシア人たちのロシア語の歌を聞いている

③Cさんは、意味や単語が分からなくても、とにかくロシア語の歌を口真似して
 ロシア人と一緒に歌う


というものでした。

結果は、

ただ黙って聞いていたAさんのストレスは最高レベルの5
(これは肉親を亡くした時に感じるストレスと同じレベルだそうです!)

お菓子を食べることで現実逃避していたBさんのストレスは3

そして、わからないけど、とにかく周りに合わせて声を出していた
Cさんのストレスは2

(これは通常私たちが日常生活で感じるストレスと同じレベルだそうです)

という大変興味深いものでした。

このAさん、Bさん、Cさんの置かれてい状況を、日本で生活している外国人に
置き換えてみると、彼らが「言葉」に関して、どんなストレスを感じている
のか、イメージができます。

何より私が驚いたのは、Aさんのストレスレベルです。
言葉が分からない環境で何も話さず黙っているというのは、肉親を亡くした時に
感じるのと同じストレスの高さとは・・・!!


たまたま見たTV番組だったのですが、日本語を教える立場の私にとって、
大変参考になるものでした。

私たち日本語教師は日本語を教えるとき、
常に学習者の言語能力の範囲」で話し
教師と学習者の言葉のキャッチボール(「質問‐答え」の繰り返し)」を
しながら
授業をしています。
全くのゼロの段階でもとにかく教師の口を真似させて、
学習者たちに発声するように促します


このTVをみて、どうして直接法の時に、そういう指導法が必要なのかを
改めて理解しました。
同時に、「言葉」というのは人が生活していく上で、とても重要なものなのだと
しみじみ思いました。

日本で生活する外国人に日本語を教えることは、このストレスから彼らを
開放してあげることにつながる!と言ったら、大げさでしょうか?
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「ある」と「いる」の使い分けのルール
2015-08-24 Mon 14:27
ある」と「いる
日本語を話す人であれば、この二つの言葉を使わない日はないといっても
過言ではない基本的な語彙です。

皆さんは、英語を勉強したとき、「女の人がいます。」も、
「鉛筆があります。」も全て「There is a ・・・・」の文になることに、
『英語は「います」と「あります」は同じなの?」と不思議に思った記憶が
ありますか?

反対に、外国人は『どうして、「います」と「あります」があるの?」と
不思議に思っている
のです。

では、この「ある」と「いる」。
日本人はどのように使い分けているのでしょうか。
新米先生の授業を覗いてみましょう。

新米 先生:「教室に椅子があります。」、「机の上に鉛筆があります。」
      「教室にジョンさんがいます。」、「庭に犬がいます。」
ジョンさん:先生!「あります」と「います」は何が違いますか?
新米先生:います」は「生き物に使います。
     あります。」は「生き物ではないものに使います。

(数日後。ジョンさんと新米先生が公園を歩いています)

ジョンさん:先生、公園に子供がいますね。犬もいますね。
      あ、チューリップもいます
新米先生:ジョンさん、「チューリップもありま」ですよ。
ジョンさん:??? どうしてですか。
      先生は、「生き物」は「いる」と教えました。
      チューリップは「生き物ですよ。
新米先生:そうですが・・・。「チューリップ」は「あります」です!!!
ジョンさん:え~っ??? どうして???

新米先生、すいぶん乱暴な教え方をしてしまいました。
ジョンさんも納得できない様子です。

では、皆さんも日本語教師になったつもりで考えてみてください。
どうして、「チューリップ」は生き物(生物)なのに、「います」ではなく、
「あります」なのか?

実は、このある」と「いる
単に、「生物」か、「無生物」かという単純な使い分けではありません。
私たち日本人は、動くのか、動かないのかで、この「ある」と「いる」を
無意識に使い分けています。

例えば、次の例文を読んで、その場面をイメージしてみてください。

① 寿司屋の張り紙
   A)マグロ、あります
   B)マグロ、います

② ロボット博物館に行った子供の話
   A)博物館にロボットがたくさんあったよ!
   B)博物館にロボットがたくさんいたよ!

③ 道路でお母さんが子供に注意する場面
   A)ほら!自転車あるから、気をつけて!
   B)ほら!自転車いるから、気をつけて!

この①~③の例文。
A)のある」を使っている時は、「マグロ、ロボット、自転車」は
動いていなと感じますが、
B)のいる」を使っている時は、それぞれが動いている場面をイメージ
しませんか?

ここまで考えると、なぜ、「チューリップがいます。」ではないのかも、
納得できますよね。
植物は「生き物」ですが、「動かない」ので、「いる」ではなく、「ある」を
私たち日本人は使うのです。

毎日必ず使っている「ある」と「いる」。
今日は、自分がどう使い分けているかを「動く?動かない?」という視点で
意識してみてください。

(おまけ)
特に、慌てて電車のホームや、バス停に駆け込む時や、タクシー乗り場に行く
時がお勧めです。無意識に
「あ~!電車(バス)、まだいる!よかった~」とか、「タクシー、いる?」
なんて私たち日本人は話していますよ♪


◆◇◆ 次回(8/31)予告 ◆◇◆

ジョンさん:鉛筆が1ぽん、2ほん、3ぼん、4
新米先生:ジョンさん。「4ぽん」ではありません。「4ほん」です。
ジョンさん:4ほん、5ぼん
新米先生:ジョンさん。「5ぼん」ではありません。「5ほん」です。
ジョンさん:うわー!!! ぽん、ほん、ぼん」、分かりません

さて、「ほん、ぽん、ぼん」。どんなルールがありますか?答えは1週間後に。
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「○」と「×」
2015-08-19 Wed 18:07
私が日本語教師になったばかりの頃のある授業での出来事です。

その日はテストの返却日だったのですが、タイから来た学習者が
返却された答案用紙を見て、ちょっとびっくりした顔をしました。

その学習者のテストは正解率80%以上で、とても素晴らしいもの
だったのですが、彼の顔は「喜び」というより、「戸惑い」の顔でした。

そして、とても不安そうな声で、
「先生、これはどこが正しくないのですか?」と
正解の「○」がついている答えを指差し、聞いてきたのです。

私は『その答えは正しいですよ。「○」のマークがあるでしょう』と
返事をしたら、
彼が『えっ?? 「○」は正しいマークですか?? 』と驚きの発声。

なんでも、タイでは「○=正しくない答え」の意味なのだそうです。

つまり、正解率80%以上の解答用紙は「○」がたくさん並んでいますから、
それを見たタイの学習者は正反対の意味で捉えて「戸惑い」の表情を浮かべたと
いうわけです(相当ショックを受けたようです)。

私もびっくりしました。
「○」と「×」は世界共通の採点記号だと思っていたので。

日本語教師になって知ったのですが、
「○=正しい答え」は世界では少数派のようです。
多いのは「✔=正しい答え」または、正しい答えには何もマークをつけなで、
間違っている答えに「×」や「○(ここは正しくないの意味でつけるようです)」
をつけるというパターンが多いようです。

「✔」マークを見たら、日本人は「ガーン・・。間違っている」と
思ってしまいますよね・・・。

日本人の皆さん。
海外でテストを受ける機会があったら、「✔」マークを見ても、
ショックを受けないでくださいね♪


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「ここ/そこ/あそこ」の使い分けのルール
2015-08-17 Mon 18:59
皆さん、こんにちは。
お盆休みはゆっくりと過ごすことができましたでしょうか?

さて、先週の予告通り、今日から毎週月曜日は
「日本人が知らない日本語の仕組み」をご紹介していきます。
ぜひ、皆さんも「外国人に日本語を教える」つもりで、考えてみてください。

今日は、ここ/そこ/あそこ」の使い方です。

ここは教室です。/そこは廊下です。/あそこはトイレです。

多くの日本語のテキストでは、非常に早い段階でこの「ここ/そこ/あそこ」を
教えます。

では、皆さん。日本語教師になったつもりで、考えてみてください。

ジョンさん:先生、「ここ/そこ/あそこ」はどう違うのですか?
新米先生:「ここ=近い所/そこ=中くらいの所/あそこ=遠い所」ですよ。
ジョンさん:そうですか。
(数日後。ジョンさんは今、ブラジルを旅行中で、日本にいる新米先生に電話を
かけてきました)
ジョンさん:先生。こんにちは!ここは今午前8時ですよ。
      あそこは何時ですか?
新米先生:あそこ?ジョンさん、あそこ」ってどこ?
ジョンさん:??? もちろん、日本ですよ。
新米先生:・・・。ジョンさん。
     そういう時は、あそこ」ではありません。「そこ」で
ジョンさん:「そこ」?どうして?日本はブラジルからとても遠いですよ。
       先生はあそこ=遠い所」と教えました。
       だから、「あそこ」でしょう

新米先生:・・・・・

さて、皆さん。新米先生の教え方。どこが悪かったのでしょうか?

日本人に「ここ/そこ/あそこ」はどう違いますか?と質問すると、
多くの場合、新米先生同様、
「ここ=近い所/そこ=中くらいの所/あそこ=遠い所」という答えが
返ってきます。

しかし、実は、
ここ=話し手(自分)の周囲
そこ=聞き手(相手)の周囲
あそこ=話し手(自分)からも、聞き手(相手)からも離れている所

という使い分けのルールがあるのです。

ですから、ブラジルにいるジョンさん(話し手)は、今自分がいる所を
「ここ」と言いますが、聞き手である新米先生がいる日本は「聞き手(相手)の
周囲」ですから、「あそこ」ではなく、「そこ」と言わないと、変な日本語になってしまうのです。

「ここ/そこ/あそこ」のような言葉を「こそあど言葉」と言います。
例えば、「これ/それ/あれ」や、「こちら/そちら/あちら」なども
そうです。
言葉自体は変わっても、
こ」=話し手(自分)の周辺の事柄
「そ」=聞き手(相手)の周辺の事柄
「あ」=話し手(自分)からも、聞き手(相手)からも距離がある事柄

という「こ・そ・あ」の使い分けのルールは変わりません。

今日は、皆さんもぜひ、自分が無意識に使い分けているこのルールを意識して
みてください。

◆◇◆ 次回予告 ◆◇◆
ジョンさん:先生、公園に子供がいますね。犬もいますね。
      あ、チューリップもいます
新米先生:ジョンさん、「チューリップもあります」ですよ。
ジョンさん:???どうしてですか。
      先生は、「生き物」は「いる」と教えました。
      チューリップは「生き物」ですよ。

さて、皆さん。
どうして、「チューリップもいます」では間違いなのでしょうか。
答えは、1週間後(8月24日)に。

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飛んだのは何?
2015-08-12 Wed 13:13
ある日の授業後のことです。

日本の幼稚園に子供を通わせているロシア人の学習者が、
こんなことを言い出しました。

学習者:シャボン玉飛んだ。屋根まで飛んだ。って、すごい歌ですね。
     台風の日の歌ですか?
私   :???
     台風?どうして?
学習者:だって、屋根も飛んだですから。
私   :!!!!

びっくりしました。「屋根まで飛んだ」を「屋根も飛んだ」と考えていたとは!

日本人なら、子供であっても、普通そんな風には考えませんよね。
この歌詞を聞いたとき、
「シャボン玉(が)飛んだ。(シャボン玉が)屋根まで飛んだ」と
(  )の省略している部分を頭の中できちんと補って、理解している
はずです。

日本語はこういった省略が多されます
「言わなくてもわかる」というか、
「お互いに共通の認識を持っている」ことが前提となっている
というのでしょうか。とにかく、こういう省略が多いのです。

こういうのを「高文脈文化(高コンテクスト文化)」と言うそうで、
日本語はその代表格だそうです。
一方、英語や、中国語、ドイツ語などはその反対で
「きちんと言葉で伝える」言語の「低文脈文化」なんだそうです。

確かに、「省略」や「指示語」、「文末の曖昧表現」が多い文を
勉強し始めた学習者は、日本人にとっては何でもない文に思えるところで、
文脈が正しく読み取れず、全く意味の違う内容で捉えてしまうことも
しばしばです。

ちなみに、子供の読む絵本や、童謡はこの「省略」が多用されています。
そして、日本人の「会話」にもこの「省略」、「指示語」、「曖昧表現」が
多用されています。

外国人に日本語を教えようと考えたときに、日本語教育について
何も知らない日本人は
絵本をテキストに使おうかとか、会話から教えようかとか考えがち
ですが、外国人にとっては、実は難しいということを知っておいてください。

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