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外国人はどうやって「五段活用」などのグループ判別をしているか
2015-10-28 Wed 22:35
今日はちょっと学生時代の国語の時間を思い出してください。

国語の「文法」の時間に「動詞の活用」というのを勉強し、その時、
「五段活用」、「上一段活用」、「下一段活用」といったグループを習います。

日本語を勉強する外国人もこれらの動詞のグループを学ばなくてはなりません。
そして、テキストに出てきた動詞がこれらのグループのどれに属する動詞なのか
を自分で判別できるようにならなければなりません。

私たち日本人にとって、このグループ分けは、そんなに難しいことでは
ありません。
なぜなら、「動詞+ない」の形に変化させれば、簡単に分かるからです。
具体的には、「動詞+ない」の形にした時、
(1)「ない」の直前の文字が「あ段」の文字なら、五段活用
  (例)立ない/読ない/書ない/泳ない/話ない
(2)「ない」の直前の文字が「い段」の文字なら、上一段活用
  (例)見()ない/起ない
(3)「ない」の直前の文字が「え段」の文字なら、下一段活用
  (例)寝()ない/食ない
というルールがあります。このルールに基づいて、日本人は動詞のグループ分けをしています。

だったら、日本語を勉強する外国人もこの(1)~(3)のルールを知れば、
簡単に動詞のグループ判別ができるのではないか?と思いがちですが、
ここに大きな壁があります。どんな壁かというと、
『そもそも、外国人はその「ない」の形自体を知らない』という現実です。

ですから、外国人に日本語を教えるときには、「ない」の形にしなくても、
動詞のグループが判別できる方法を教えなければなりません。

では、どう教えるか。

外国人はわからない単語があれば、それを辞書で調べます。
その「辞書に載っている動詞の形」で判別できることを教えます。

具体的には、こうです。

動詞の「辞書の形」の最後のひらがなが、
「う」、「つ」、「る」、「ぬ」、「む」、「ぶ」、「く」、「ぐ」、「す」
  の動詞
五段活用
「い段の文字+る」で終わっている動詞上一段活用
「え段の文字+る」で終わっている動詞下一段活用
という判別方法です。

更に、漢字を知っていると、そこからもアプローチできます。
A)五段活用の動詞は「漢字一文字+送り仮名一文字」
  (例)歌う/立つ/座る/死ぬ/読む/遊ぶ/書く/泳ぐ/話す
B)上一段活用、下一段活用の動詞は「漢字一文字+送り仮名二文字」
  (例)起きる/借りる/食べる/覚える
というパターンがあるのです。

但し、この辞書の形の最後のひらがなで判別する方法も、漢字と送り仮名の数
で見分ける方法も、例外が出てきます。
その例外については、残念ながら「覚えるしかない」のが現実ですが、ほとんど
の動詞はこの①~③+A)、B)のルールで判別できます。

今日のブログは少し専門的なお話になりましたが、同じ「日本語」を学ぶにも、
日本人が学ぶ「国語の文法」と外国人が学ぶ「外国語としての日本語の文法」は
アプローチの仕方が違うのだ
・・ということを感じてもらえれば、幸いです。

(余談)
国語の時間の「文法」に苦手意識がある日本の子供たちには、外国人が日本語を
学ぶ時の方法でアプローチしていけば、苦手意識が少しはなくなるのかな・・・
と思うこともあるのですが、どうなんでしょうかね。
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立ちています?書きています?
2015-10-26 Mon 21:58
日本語を勉強する外国人は動詞を勉強し始めると、急におしゃべりになります。
それまでは、「~は~です。」といった文が中心なので、自分の行動などが
表現できないのですが、「動詞(文)」という手段を手に入れると、今までの
ストレスを発散するかのように、積極的に日本語でコミュニケーションをとって
くるようになるのです。

そんな彼らが乗り越えなければならない大きな山があります。
それが「動詞の変化」です。

私たち日本人も国語の文法の時間に「五段活用・上一段活用」や、
「未然形、連用形、終止形」などといった動詞の変化の勉強をしますが、
日本語を勉強する外国人もこの変化を学ばなければなりません。

外国人に日本語を教える場合は、私たち日本人が勉強してきたような
「未然形、連用形・・」というような方法では教えません。
例えば、「立ちます、読みます」といった「動詞+ます」は「ます形」、
「立つ、読む」というように辞書に載っている形のものは「辞書形」と
いうように教えます。

その動詞の変化の中でも、「ひええええ~」と学習者が思う一番高い山が、
「立っています」とか、「書いてください」の「動詞+て」の変化です。

これの何が「ひええええ~」なのかというと、
って/書/話して/読んで・・・というように「って」、「いて」、
「して」、「んで」と色々な変化をするからです。
何も知らない外国人は『動詞一つひとつの「~て」の形を覚えなければならないのか!!』と青ざめるのです。

しかし、私たちの母語である日本語にはこの複雑そうな「~て」の変化にも
きちんとルールがあります


このルールは動詞の辞書の形(立つ/書く・・など)の最後のひらがなに
注目します。
そうすると、最後のひらがなが

「う・つ・る」の動詞+「て」「って」になる。
 (例)歌→歌って/立→立って/座→座って
「ぬ・む・ぶ」の動詞+「て」「んで」になる。
 (例)死→死んで/読→読んで/遊→遊んで
「く」の動詞+「て」「いて」「ぐ」の動詞+「て」「いで」になる。
 (例)書→書いて/泳→泳いで
「す」の動詞+「て」「してになる。
 (例)話→話して

という大きなルールが見えてきます(注1)。

こんな風に、「外国語としての日本語」という視点から見ると、日本人でも、
なかなか気づかないルールがあり、面白いのです。

国語で勉強した「文法」が苦手だったという方。
外国人が勉強する「外国語としての日本語」という視点から日本語を考えると、
「文法」も楽しくなるかもしれませんよ。

(注1)
「見る」、「起きる」、「寝る」、「食べる」など「る」で終わっても
「って」にならないものもありますが、これはまた、ちょっと違う
グループの動詞なので、次の機会(水曜日)にお話します。


◆◇◆ 次回(11/2)予告 ◆◇◆

次回から、数回はこの「動詞の変化のヒミツ」をご紹介していきたいと
思います。
この動詞の変化。日本人も「あっ!」と驚くヒミツがあるのです。

「未然、連用、終止、連体・・・」なんて呪文のように唱えて、覚えた記憶が
ある方。
もっと早く知っていれば、文法アレルギーにならなかったかもしれません。

では、また来週月曜日に。


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けんかの原因
2015-10-21 Wed 17:23
あるクラスでのことです。

いつもクラスを明るくしてくれるブラジル人のルイスさんが、その日は
ショボ~ンとして、うつむいてました。
他のクラスメイトが声をかけても、反応せず、授業も上の空。
あまりにもいつもの様子と違うので、授業が終わったあと、
「どうかしましたか?」と彼に声をかけました。

すると、
「昨日、彼女(日本人)に胃薬をあげたら、怒って、家を出ていって
しまった

とのこと。

胃薬をあげたら、怒って、出て行った???

状況がよく分からないので、詳しく聞いたところ、

ルイスさん:実は、昨日恋人(日本人)と喧嘩をしました。喧嘩をしている時、
      彼女が『あー、腹が立つ!』と言いました
      だから、私は彼女に胃薬をあげました
      そうしたら、彼女は怒って、家を出ていきました。
      どうして?わかりません。とても、悲しいです。
私:あ~・・・・・。(ルイスさん。それはね・・・)


まだ慣用句を勉強していないルイスさんは、彼女の言った「腹が立つ」の意味が
わからなくて、
「腹」が「立つ」
    
「お腹が上に行く」
    
「お腹が痛い」

と考えたそうなのです。

ルイスさんとしては、彼女の体を心配して、薬をあげたのに、どうして??
という気持ちだったでしょう。
そして、彼女も喧嘩をしている時に「はい、薬」と渡されて、
「ふざけないでよ!」という気持ちになったのかもしれません。
(きっと、喧嘩で冷静さを失っていて、ルイスさんが日本語を勉強中である
ことを忘れてしまっていたのでしょうね・・)

慣用句は、意味を知っている側にとっては便利な表現ですが、
意味を知らない人たちにとっては、こういう勘違いがたくさんあるんだと
思います。


★★ 後日談 ★★

その後、ルイスさんと彼女は仲直りをしました。
彼女がルイスさんに小学生用の「ことわざ・慣用句辞典」をプレゼントして
くれたそうです。
ルイスさんがニコニコしながら、「勉強しま~す!」と私に見せてくれました。

頑張れ!ルイスさん!!



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「着る」と「はく」の使い分け
2015-10-19 Mon 19:25
セーターを着る
ズボンをはく


英語を勉強したとき、この「着る」も、「はく」も「wear」で表すことを
知って、私たち日本人は『へ~。英語は「着る」と「はく」は同じ単語なんだ
と思ったのではないでしょうか。

日本語を勉強する外国人はというと、私たち日本人とは反対に、
『へ~。日本語には「着る」と「はく」があるんだ。』と
思っています。そして、こう質問します。
「着る」と「はく」はどう違うのですか?』と。

「着る」と「はく」の違いを外国人に説明する際に避けて欲しいのが、
個別の事物と動詞を結びつける方法です。
例えば、『セーター、ジャケットは「着る」。ズボン、スカートは「はく」。』
というような方法です。
このように説明をすると、外国人は身につけるもの一つひとつに対し、
使える動詞を覚えなければならなくなり、とても大変です。
(実際に、私が出会った学習者にも「スリッパの動詞はなんですか?」、
「靴下の動詞はなんですか?」という質問をしてくる人がいました・・・)

では、私たち日本語教師はどう教えているかというと、
・肩から腰(の間に身につけるもの)は「着る」
・腰から下(に身につけるもの)は「はく」

と、シンプルに教えています
(もちろん、学習が進めば、「かぶる」、「巻く」など細かな動詞の使い分け
も教えますが、初めはこのようにシンプルに教えます)


そこで、ふと思ったのですが、ある地方では「手袋をはく」と言うそうです。
私も初めて聞いたときは「手袋をはく?!」と驚いたのですが、
直立して、手を下に伸ばしてみると、確かに「手首」は腰より下の位置にある
ので、「手袋をはく」は論理的には成立する表現なのかもしれない・・・
と思いました。
(私は方言の専門家ではないので、あくまでも類推です。
どなたか「手袋をはく」という表現のルーツをご存知の方がいらっしゃったら、
教えてください)


◆◇◆ 次回(10/26)予告 ◆◇◆

ジョンさん:先生、例文をホワイトボードに書きてください。
新米先生:ジョンさん。「書きてください」ではありません。
     「書いてください」です。
ジョンさん:すみません。あの、先生。
      この漢字を読みてください。
新米先生:「読みてください」ではありません。
     「読んでください」ですよ。
ジョンさん:う~ん・・・。「書いてください」、「読んでください」。
      先生、日本語の「てください」は色々あって、難しいですね。


「書いてください」、「読んでください」、
「立ってください」、「話してください」・・・。
この「てください」のルール。
分かりやすく説明できますか?

答えは、来週月曜日に。

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昨日、私は「ねこ」を食べました。
2015-10-14 Wed 19:15
ある日の授業のことです。

昨日、何を食べたかを学習者と私とで話していたのですが、
私が昨日食べたものを行った途端、あるアラビア語が母語の学習者が驚いて、
「ええっ!!!先生はねこを食べましたか?!?!」と質問してきました。

ねこを食べた。

皆さん、私が食べた物が何か分かりますか?
(もちろん、「猫」は食べていません!!)

実は、「にくを食べた。」と私は言ったのです。

それが、アラビア語圏の学習者には「ねこを食べた」と聞こえたようで・・・。

私の発音が悪いのか?とも思いましたが、他の学習者にはきちんと「にく」と
聞こえていたので、そういう問題ではないのです。

では、なぜ「にく」が「ねこ」になってしまったのか?

何でも、アラビア語には母音が三つしかなく、聞いた時に、
日本語の「い」と「え」、「う」と「お」の区別が難しいのだそうです。
だから、「N(にく)」が、「N(ねこ)」というように
聞こえてしまうそうなのです。

日本語に限らず、外国語を勉強する際には、自分の母語にない発音は習得が
難しいですが、「にく」が「ねこ」に聞こえてしまう・・・というのは、
日本で生活する場合、ちょっと大変だなあと感じました。



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学校「に」行きます。/学校「へ」行きます。
2015-10-13 Tue 19:37
学校行きます。
学校行きます。

【問】この二つの文の違いを説明しなさい。

日本語教師になるための試験で見かけるような問題です・・・。

この二つの文の違いは「に」か、「へ」かですが、
皆さん、上手く説明できますか?

今まで色々な「日本人の知らない日本語の仕組み」をご紹介してきましたが、
この「に」と「へ」の違いは、日本人でも説明するのが難しいかもしれません。
(私たちの日常生活の中では「に」の方が優勢で、「へ」を使う場面は少なく
なってきているようですので・・・。)

しかし、日本語のテキストでは、「に」と「へ」は勉強しなければならない
項目として出てきますので、私たち日本語教師はこの違いを学習者に
教える必要があります。

では、「に」と「へ」は何が違うのか?

実は、
「に」は動作、移動の到達点
「へ」は動作、移動の方向

を示すという、本来の意味があります。

どういうことか、というと・・・

「私は学校行きます。」と言った場合は「学校」という場所が私の到達点
(ゴール)
であることを示しています。
それに対し、「私は学校行きます。」と言った場合は「学校」は私が「行く
方向」
であることを示しています。
(つまり、「学校」が到達点かどうかは示してません)

と、日本語教師は教えるのですが、こう話しても、「え~。そうかな~。」
という日本人は多いのも現実です。

しかし、「電車乗る」と言っても、「電車乗る」とはあまり言いません
よね。
他にも、「駅着いた」よりも、「駅着いた」の方が自然ですよね。

こういう「乗る」とか「着く」という「そこが行き止まり」というニュアンスの
ある動詞と一緒に使うときは「へ」より「に」を使う方が自然と感じるのは、
私たち日本人が無意識のうちに「に=到達点」というイメージを持っているから
ではないでしょうか。

現在は「へ」よりも、「に」の方が優勢な状況ですが、「へ」と言わずに
「に」と言ったほうが自然な感じがする(または、その反対)・・という
場合はどんな時だろう?と考えてみるのも、秋の夜長の楽しい過ごし方
かもしれません(楽しく感じるのは日本語教師だけですか?!?)。


◆◇◆ 次回(10/19)予告 ◆◇◆

ジョンさん:先生、今日先生が着ているズボンの色はいいですね。
新米先生:ジョンさん、「着ているズボン」ではありません。
     「履いているズボン」です。
ジョンさん:「履いている」?
      先生、「着ている」と「履いている」は何が違うのですか?


来週月曜日に訪問してくださることを楽しみにしています。



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