日本語センター
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田中さん「に」会う/田中さん「と」会う
2015-11-30 Mon 22:36
ジョンさん:先生、質問があります。
     私は「昨日 私は 田中さん 会いました。」
     と書きましたが、
     先生は「昨日 私は 田中さん 会いました。」に直しました。
     「田中さん 会いました。」と「田中さん 会いました。」は
     どう違うのですか?

さて、皆さん。
「田中さんに 会いました。」と「田中さんと 会いました。」の違いを
ジョンさんに上手く説明できますか。

この二つの文で違うのは、助詞が「に」か、「と」かという点です。
たったひらがな一文字の違いですが、「田中さんに会う」と「田中さんと会う」
では、聞いた時のイメージが全く違います
では、どのように違うのでしょうか。

「何か違うのはわかるけれど、上手く説明できない・・。」
「私には同じように感じるけど・・。」
という方は、次のシチュエーションで考えてみてください。

A)駅で偶然会った場合
B)田中さんと私が約束した上で、駅で会った場合

A)のシチュエーションの時、「田中さんに会った」と「田中さんと会った」は
どちらの方がしっくりいきますか?
B)のシチュエーションの時はどうですか?

このように考えてみると、少し「に 会う」と「と 会う」の違いが見えてくる
でしょうか。

では、私たち日本語教師は外国人にこの違いをどう教えているのか・・
というと、

①「~ 会う」は一方的な動の場合:「私田中さん」
②「~ 会う」は双方向の動作の場合:「私田中さん」

と教えています。

つまり、
「田中さんに 会う」は、話者である私が会う相手が「田中さん」であることを
「に」で示しているだけ
で、「田中さんの意思」はこの文ではわかりません。

それに対し、「田中さんと 会う」は、「会う」という動作を一緒にする人が
田中さんであることを「と」で示し
ており、田中さんにも「会う」意思がある
ことがわかります。

ですから、
A)駅で偶然会った場合は「田中さん会った」、
B)約束して会った場合は「田中さん会った」の方が、
聞いたときに自然に感じるのです。
(理屈ではなく、自然に感じるというのが、ネイティブのすごいところですね)

こんな風に「~に~する。」と「~と~する。」の違いを教えたあとで、
外国人たちにちょっと意地悪な質問をします。

先生:「私は猫話します。」のジェスチャー、どうぞ~!
学習者:一斉に猫に語りかけるジェスチャーをし始める。

先生:では、「私は猫話します。」のジェスチャー、どうぞ!
学習者:一斉に、「できません!!猫は話しません!!」との答え。

みんな、「に」と「と」の違い。わかったようですね(笑)。

◆◇◆ 次回(12/7)、予告 ◆◇◆
ジョンさん:先生、先週勉強した敬語で、「お」と「ご」の使い方が
     わかりません。
     「話?話?」、「連絡?連絡?」。
     日本人はどんなときに「お」を使って、どんなときに「ご」を
     使うのですか。教えてください。
新米先生:え~っと・・。それはですね・・・。

皆さんは、「お」と「ご」をどう使い分けていますか?

答えは、来週月曜日に。


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日本語の語順
2015-11-25 Wed 19:35
図書館で面白い本を見つけました。
その名も「世界の中の日本語」(小峰書店)という本。
子供向けの本なのですが、世界の言語と比較しながら、日本語の特徴を考え、
日本語に興味を持ってもらうための本です。

その本にとても興味深い話が書かれていました。

それは、「世界の言葉の語順」というものです。

私たちの母語である日本語は「主語+目的語+動詞」という語順の言葉です。
しかし、英語を初めて勉強した時、英語は「主語+動詞+目的語」という語順
で、主語以下の語順が日本語とは違うことに「へ~。そうなんだ」と思った
のではないでしょうか。

更に、中国語、フランス語、ドイツ語などの言葉も英語と同じ
「主語+動詞+目的語」の語順なので、
日本語の語順は世界の言語から見たら、マイナーなのか」と考える方も
多いかと思います(私はそう思っていました)。

ところが!!!

世界の言語の50%弱は日本語と同じ語順なのだそうです!!!

ちなみに、英語と同じ語順の言語は40%弱
「動詞+主語+目的語」の語順の言語は10%弱、
「動詞+目的語+主語」のは約2%
なのだそうです。

つまり、日本語の語順は決してマイナーではなく、実は世界の主流!なのです。

びっくりしました!!!

ということは・・・
日本語と外国語は語順が違うから、日本人が外国語を勉強する時は大変・・・
なのではなく、むしろ、同じ語順の外国語に出会う可能性が高いのです。
また、日本語を勉強する外国人も、「あ!日本語の語順は自分の国と同じだ!」
と思う人が多いと言えるのでしょうか。

正直なところ、あまりそう感じたことは今までの人生でありませんが、
「語順」が外国語を習得する際の一つのポイントになるのであれば、
外国人が日本語を勉強する時も、日本人が外国語を勉強する時も、
ちょっと楽なのかもしれませんね。

◆◇◆ 本のご紹介 ◆◇◆
「世界のなかの日本語」全6巻(小峰書店)

子供向けの本のため、絵や例が豊富で、難しい専門用語を使わず、とても分かり
やすく「日本語とはどんな言葉か?」をまとめてあります。
1巻約50ページ程度ですので、ちょっとした時間に読める本です。

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「ここに ない」と「ここには ない」
2015-11-24 Tue 23:36
ジョンさん:先生、この前日本人と話していたら
      「その本はここにはない」
      と言われました。
      でも、日本語のテキストには「ここない」と書いてあります。
      「ここにはない」と「ここない」は同じですか?

この質問は、日本語を勉強している外国人からよく出ます。

確かに初級のテキストでは「ここ ありません」と書かれているものが
ほとんどです。
しかし、実際の日本人の会話では「ここ ありません。」という時もあれば、
「ここには ありません。」という時もありますから、外国人にとっては「???」なのです。

では、「本は ここ ありません。」と「本は ここには ありません。」を
皆さん、どのように使い分けていますか?

「え~、そんなこと考えたこともない」という方は、次のように考えてみて
ください。

「本は ここに ありません。」と言われた時と
「本は ここには ありません。」と言われた時。
どちらの方が「じゃあ、どこに あるの?」と続けて質問したくなりますか?

こう考えると、ほとんどの方が「本は ここには ありません。」と言われた時
の方が、「じゃあ、どこに あるの?」と続けたくなるのではないでしょうか。
更に、そう続けて質問した時に、「さあ、知りません。」と答えられたら、
「え?!」っと戸惑う(シチュエーションによってはムカっとする?)のでは
ないでしょうか。

その皆さんの感じる感覚が
「ここ ありません。」と「ここには ありません。」との違いなのです。

「ここ ありません。」と言った時は、
単に『「ここ」という場所に「本」が存在しない』ということだけを伝えているのですが、
「ここには ありません。」と言った時は言外に「他の所にある」ということを
示している
のです。

ですから、「ここには ありません。」という時は、
「どこにあるか知っている」場合でないと使えないのです。

たった一文字「は」があるか、ないかでこんなにもイメージが変わってしまう
ということを考えると、助詞は日本語の中でとても重要な役割を担っている
のだな・・・としみじみ思うのですが、皆さんはどうですか?


◆◇◆ 次回(11/30)予告 ◆◇◆

ジョンさん:先生、質問があります。
新米先生:なんですか。ジョンさん。
ジョンさん:この作文ですが、私は「昨日 私は 田中さんに 会いました。」
     と書きましたが、
     先生は「昨日 私は 田中さんと 会いました。」に直しました。
     「田中さん 会いました。」と「田中さん 会いました。」は
     どう違うのですか?


さて、皆さん。
「田中さんに 会いました。」と「田中さんと 会いました。」はどう違う
のでしょうか。

答えは、また来週。
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あなたのホンダはどこのメーカーですか?
2015-11-18 Wed 17:46
日本語を教えていると、日本では普通名詞として使っている言葉が、
世界では「???」の言葉になるということを知る機会が多くあります。

例えば、「ホチキス」

日本人は「ホチキス」を普通名詞として使っている方も多く、表記もカタカナ
なので、海外でもそう呼ばれていると思われがちですが、「ホチキス」と
海外で言っても、通じません。
海外では「ステープラー」と言い、実はJIS規格上の名称も「ステープラ」
なのです。

ですから、ホチキスを指して、「先生、これは何ですか?」と質問してきた
学習者に「それはホチキスです」と答えると、
皆、「ホチキス???どうして???」という反応をします。
これは、日本で初めてステープラを輸入したのが「ホッチキス社」の作ったものだった・・というが由来なのです。
(ちなみに、タイではホチキスのことを「マックス」と言うそうです。)

そんな中である日、インドネシアの学習者が、
「インドネシアのある地域では、オートバイのことをホンダと言います」
と教えてくれました。

ホンダのバイクだけでなく、カワサキでも、ヤマハでも、スズキでもバイクは
全部「ホンダ」と言う
とのこと。

『では、その地域の人たちは、「私は会社にホンダで行きます」と言うの?』
と質問すると、「そうです」とのこと。

さらに、ベトナム人の学習者も「ベトナムでも、ホンダと言いますよ
とのこと。

「あなたのホンダはどこのメーカーですか?」「私のホンダはヤマハです。」
という会話が成り立つのだそうです。

日本人からすると、ちょっと変な感じがしますが、面白いですね。


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擬音語・擬態語にもルールがある
2015-11-16 Mon 18:54
この時期は雨が降ると、気温がぐっと下がるので、暖房を使うかどうかで
悩んでしまいます。

さて、今日はその「雨」を題材にして、日本人が知らない日本語の仕組みを
ご紹介したいと思います。

雨が「ぽつぽつ/ざあざあ/しとしと」降る。
この「ぽつぽつ/ざあざあ/しとしと」を雨の勢いの弱い順に並べると、
どうなるでしょうか。

こういった質問を投げかけると、日本人全員が迷わず「ざあざあ」は、一番
勢いが強い
と答えます。
しかし、「ぽつぽつ」と「しとしと」については、「う~ん」と悩んでしまう
方がほとんどです。


答えは、「しとしと→ぽつぽつ→ざあざあ」です。


「しとしと/ぽつぽつ/ざあざあ」というような言葉を擬音語・擬態語と言い、
日本語はこの擬音語・擬態語が多いと言われています。
日本語を勉強する外国人にとっては、厄介な言葉の一つです。
そして、外国人はこれらの言葉を勉強するときに「ルールを知りたい」と
言います。

では、「擬音語・擬態語」にはどんなルールがあるのかというと、
濁音は、大きいもの、重いもの、鈍いもの、汚いものを表す
清音は、小さいもの、軽いもの、鋭いもの、美しいものを表す
半濁音清音と濁音の間のもの、弾む様子を表す
というルールがあります。

このルールに当てはめると、雨の勢いは「しとしと→ぽつぽつ→ざあざあ」の
順に強くなっていくというわけです。

日本人は、このルールを子供の頃から無意識の内に身につけてきているので、
「ころころ/ごろごろ」転がる
「はらはら/ぱらぱら/ばらばら」降る
という言葉を聞いたときに、どんな大きさ・重さのものが転がっているのか、降っているのかをイメージすることができるのです。

私たちがこの擬音語・擬態語をよく目にするのは「マンガ」の中でしょうか。
外国人に教える時も「マンガ」をよく使います(絵があって、とても分かり
やすいのです)。
皆さんも、機会があれば、マンガの中に出てくる擬音語・擬態語とその絵を
ルールに当てはめてみてください。
いつもとは違った視点でマンガを楽しめると思います。


◆◇◆ 次回(11/24:火曜日)予告 ◆◇◆

ジョンさん:先生、この前日本人と話していたら
      「その本はここない」
      と言われました。
      でも、日本語のテキストには「ここない」と書いてあります。
      「ここにはない」と「ここない」は同じですか?
新米先生:あ~、それはですね・・・・。

さて、「ここにはない」と「ここにない」。
皆さんはどう使い分けていますか?


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夜1時に会いましょう。
2015-11-11 Wed 19:31
授業で「時間の言い方」を教えていた時のことです。
タイの学習者が「先生、私の国では、午後7時のことを夜1時と言います。」
と言いました。

そのクラスには様々な国籍の学習者がいたのですが、私を含めた全員が
「えええっ??夜1時???」
とびっくり。
時間に関しては、言葉としての言い方が違うだけで、世界共通だと思っていた
ので、みんな「どうして、7時が1時になるの??」とびっくり仰天。

タイの学習者曰く、
「世界の国は1日を12時間単位で分けますが、タイは6時間単位で分けます
だから、午後7時のことを夜1時と言います。」
とのこと。

しかし、この説明を聞いて、みんなから更に疑問が・・。
「では、タイでは1時が4回ありますか?1時に会いましょうと言われたら、
どの1時かわからない
でしょう?」
午後7時は夜1。では、午前1時は?午前1時も、まだ夜ですよ?」
と質問攻め状態に。

そこで、たどたどしい日本語で説明をしてくれたのですが、タイでは次のような時間の言い方になるそうです。

              【タイの言い方】
午前1時~午前5時  → 深夜1時~深夜5時
午前6時~午前11時 → 朝6時~朝11時
            (ここでは「朝1時」とは言わないとのこと)
午後1時~午後3時  → 昼1時~昼3時
午後4時~午後6時  → 夕方4時~夕方6時
午後7時~午後11時 → 夜1時~夜5時
午前0時と午後12時には特別な言い方があるそうです。

この説明を聞いて、みんなますます混乱。

「6時間単位なら、どうして、午前6時が朝6時なの?朝1時じゃないの?」
「結局、午前1時~午後6時までは同じなのに、どうして、夜7時以降だけ
変わるの?」
「6時間制なら、タイの時計の数字は1から6までしかないの?」
などなど・・・。

タイでも、職場や、テレビなどの時間は「12時間単位」で言うそうですが、
日常の会話ではもっぱらこの「6時間単位」の言い方を使うそうです。

う~ん。混乱しそうです・・・。

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