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2015-12-21 Mon 22:41
8月から色々なテーマで「日本語の仕組み」をご紹介してきましたが、
皆さまいかがでしたでしょうか。 「へ~。日本語ってこんなルールがあるんだ」とか、 「日本語って面白い」とか思っていただけたら、一人の日本語教師として とてもうれしく思います。 さて、今日は「日本人の知らない日本語の仕組み」シリーズの今年最後の 更新です。 2015年の「まとめ」として、こんな問題はいかがでしょうか。 ぜひ、皆さん、考えてみてください。 【問題】次のA)~D)の情景の違いを説明してください。 A)米洗う前に蛍が一つ、二つ B)米洗う前を蛍が一つ、二つ C)米洗う前へ蛍が一つ、二つ D)米洗う前で蛍が一つ、二つ この俳句は、日本語の助詞の面白さを理解してもらうために、小学校の国語の 時間でも、よく使われる有名なものです。 私たち日本語教師も、養成講座受講生の時に、この俳句で「助詞」の大切さを 学びました。 前回のブログに書いたように、こういった問題の場合は 「同じところは同じ意味。違うとことにその意味の違いがある。」の法則 に従い、まず同じ部分を消去してみます。 そうすると、残ったのは「に/を/へ/で」という、たった一字の部分です。 この一字が、A)~D)の情景をガラリと変えているんですね。 では、どう違うのでしょうか。 「う~ん・・・」と唸ってしまう方は、「一つ、二つ」の後ろには どんな動詞が続くかを考えてみてください。 A)米洗う前に蛍が一つ、二つ・・・・いる/とまっている/飛んできた B)米洗う前を蛍が一つ、二つ・・・・通過する/飛んでいく C)米洗う前へ蛍が一つ、二つ・・・・飛んでくる/向かってくる D)米洗う前で蛍が一つ、二つ・・・・飛んでいる というような動詞が頭に浮かんでくるでしょうか。 では、どうしてA)~D)それぞれの後ろにつながる動詞が違うのでしょうか。 これは、「所の言葉+に/を/へ/で」のそれぞれが、どういう意味を持つのか を日本人は体得しているからなのです。 「所の言葉+に」は「存在する場所」、「到達点」を、 「所の言葉+を」は「通過する場所」を、 「所の言葉+へ」は「向かう方向」を、 「所の言葉+で」は「その動作をする場所」を表すことを、 私たち日本人は上手く説明できなくても、知っているのです。 ですから、A)~D)の俳句に続く動詞もそれぞれ違うものを選ぶことができ、 更に、このA)~D)の情景の違いもイメージできるのです。 日本語を勉強する外国人だけでなく、日本人からも「難しい」と言われることの 多い助詞ですが、たった一字でその情景を変えてしまうのが「助詞」です。 こういった「助詞」の持つパワー(?)を、「難しい」ではなく、「面白い」 と思ってくれる外国人・日本人が増えることを願っています。 それでは、皆さま、良いお年をお迎えください!! スポンサーサイト
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2015-12-16 Wed 23:07
エレベーターの前で、日本語を勉強する外国人たちとおしゃべりをしていた時
のことです。 突然、エレベーターのドアが開き、私がとてもお世話になった人で、 1年前に地方に転勤した方に会いました。 まさか、そこで会うとは思ってもいなかったので、とっても驚き、 「わーっ!!お久しぶりです~!!」 と笑顔&感激200%で、私はその方に言いました。 そうしたら、一緒に話していた学習者たちまで、 『あーっ!「久しぶり」!「久しぶり」!』と口々に言い始めたのです。 私とその方は知り合いですが、学習者はその方とは初対面のはず。 私は「???」と不思議に思い、彼らに「何が久しぶりなの?」と聞くと、 『実は、先週、「久しぶり」を勉強したんですが、少し分からなかったんです。 でも、今、先生を見て、「久しぶり」の使い方が、とてもよく分かりました。』 とのこと。 言葉を勉強する人にとって、「本物」の教材はわかりやすいのだな~と改めて 感じました。 |
2015-12-14 Mon 22:54
日本語を勉強する外国人が「???」と思う日本語の一つに「~ことにする」と「~ことになる」の違いがあります。
例えば、 A)私は彼女と結婚することにしました。 B)私は彼女と結婚することになりました。 このA)の文とB)の文、どう違うのでしょうか? こんな質問をされると、日本人は「え~っと・・」と戸惑ってしまうのですが、私たち日本語教師は「同じところは同じ意味。違うところにその差がある。」 と考えます。 このA)文とB)文とで同じ部分は「私は彼女と結婚することに」ですから、 ここまではこの二つの文は同じ意味を持っています。 しかし、最後でA)は「しました。」、B)は「なりました。」と違う表現に なります。 ということは、A)文とB)文の意味の違いは 「しました(する)」と「なりました(なる)」の意味の違い を考えれば、分かるのです。 「する」には「自分の意志である動作、行為を行う」という意味があります。 一方、「なる」には「人為的ではなく、自然の成り行きで変化し、ある状態が 現れる」という意味があります。 ということは、「~ことにする」と「~ことになる」は、 「自分の意志で決めたこと」なのか、 「自分の意志とは関係なく、そういう結果になったのか」の違い と言えます。 こういう説明をすると、外国人も「~ことにする」と「~ことになる」の違いが 理解できるのですが、それでも、彼らは「???」と思うことが多いのです。 なぜか? それは、日本人は自分の意志で決めておきながら、 「今度、結婚することになりました」と言うからです。 これを聞いた外国人たちは、「??この人は結婚したくないのかしら?」、 「周りの人に強制されたの?」と考えてしまうわけです。 自分で決めておきながら、「~ことになりました」というのは、 いかにも日本人らしい表現ではないでしょうか。 ◆◇◆ 次回(12/21)予告 ◆◇◆ 次回は、「日本人が知らない日本語の仕組み」の年内最後の更新です。 8月から色々なテーマで「日本語の仕組み」をご紹介してきましたので、 半年間の「まとめ」として、こんな問題を考えてみました。 ぜひ、皆さん、考えてみてください。 A)米洗う前に蛍が一つ、二つ B)米洗う前を蛍が一つ、二つ C)米洗う前へ蛍が一つ、二つ D)米洗う前で蛍が一つ、二つ 日本語の助詞の面白さを理解してもらうためによく使われる有名な俳句です。 さて、皆さん。このA)~D)の文の情景の違いを上手く説明してみてください。 答えは、来週月曜日に。 |
2015-12-09 Wed 19:53
日本語を教えて、20年ぐらいになりますが、授業で扱うのが「面倒だな・・」
と思う言葉があります。 何か?というと、「野菜」の言葉です。 野菜なんて、万国共通じゃないの?と思うかもしれませんが、意外に「??」 という反応になることが多いのです。 例えば、「きゅうり」 。 外国で売られているきゅうりは日本のきゅうりと比べると、とても大きいことが 多いので、彼らがきゅうりの絵カードを見たときに「?」という表情をします。 「これはcucumber(きゅうり)?でも、小さいな。違う野菜なのかな?」 と思うようなのです。 他には、「マッシュルーム」 。 日本人が「マッシュルーム」と聞いて、思い浮かべるのはシチューやハッシュド ビーフなどに入っている「あのきのこ」ですが、 外国人にとっては、「しいたけ」も、「しめじ」も、「エリンギ」も、全部「マッシュルーム」なのです。 ですから、「私はマッシュルームが好きです。」と言って、「しいたけ」の写真 を見せてくれる学習者もよくいます。 それから、議論になるのが「トマト」です。 「私の好きな野菜はトマトです。」と言うと、 「先生、トマトは野菜ではありません!果物です!」 と言ってくる学習者が必ずいるのです・・・。 ある特定の国では「トマト=果物」と考えるのか?と思いきや、同じ国の学習者 同士でも、「野菜だ!」、「いや、果物だ!」と意見が分かれます。 (日本人が「すいか」は野菜か、果物かで意見が分かれるのと、同じ 感覚でしょうか?) 他にも、イギリスで教えていた時は、「大根」の絵を見せると、「にんじん」と 間違える人がたくさんいました。 (イギリスでは白いにんじんが売られていて、大根は普通のスーパーではあまり 見かけないそうです) こんな風に、野菜は意外にお国事情が出るので、あまり突っ込んで教えず、 サラッと流しておいたほうがいいのかもしれません。 (詳しく勉強したい人は、スーパーに行ってね♪) |
2015-12-07 Mon 19:29
ジョンさん:先生、先週勉強した敬語で、「お」と「ご」の使い方が
わかりません。 「お話?ご話?」、「お連絡?ご連絡?」。 日本人はどんなときに「お」を使って、どんなときに「ご」を 使うのですか。教えてください。 新米先生:え~っと・・。それはですね・・・。 さて、皆さんは、「お」と「ご」をどう使い分けていますか? 正直なところ、あまり意識せずに、使い分けているのかもしれません。 しかし、実は「お」と「ご」の使い分けにはルールがあります。 それは、 「お」+和語 「ご」+漢語 というルールです。 和語というのは、いわゆる「やまとことば」と言われるもので、もともと 日本に存在していた固有の語です。 一方、漢語というのは、昔、中国から伝来した語です。 例えば、「山」という漢字を「やま」と訓読みすると和語ですが、 「サン」と音読みすると漢語となります。 今日のブログの最初にあるジョンさんの質問には、 「話(はなし)」は和語だから、「お」を使い、 「連絡(レンラク)」は漢語だから、「ご」を使う と教えます。 この「お+和語」、「ご+漢語」というルールは、かなりしっかりしたもの なのですが、ルールがあるところには、例外も必ず存在する・・のでしょうか。 外国人を悩ませるものもあります。 例えば、「誕生」という語。 「誕生」はルールに従えば、「ご誕生」なのですが、「お誕生日」のように、 私たち日本人は「お」も使います。 他にも、「時間」は漢語なのですが、「ご時間」ではなく、「お時間」と 言います。 どうしてこのような「ゆれ」が生じているのか・・という理由は、 「漢語と和語の区別が簡単につかない(もしくは、意識しない日本人が 増えてきた)」とか、『「お」の持つやわらかい語感の方が「『ご」の持つ かたい語感よりも好まれるようになってきている』とか、色々ありますが、 どうなのでしょうか。 例外もある、ということも理解しながら、自分の「お」と「ご」の使い分けが ルールに沿っているか考えてみると、面白いかもしれません。 ◆◇◆ 次回(12/14)、予告 ◆◇◆ 日本語を勉強する外国人が「?」と思う日本語はたくさんありますが、 次の日本語も彼らにとっては「???」です。 A)私は彼女と結婚することにしました。 B)私は彼女と結婚することになりました。 さて、皆さん。このA)の文とB)の文、どう違うのでしょうか? 答えは、来週月曜日に。 |
2015-12-02 Wed 19:10
いよいよ2015年も残り1ヶ月となりました。
この時期は、忘年会やら、クリスマスやら、新年の準備やらで、忙しくなり ますね。 そして、この時期に毎年外国人から出る質問があります。 それは、 「どうして、日本ではクリスマスにフライドチキンを食べるの?」 「どうして、日本ではクリスマスに苺のケーキを食べるの?」 という質問です。 日本人にとっては当たり前のクリスマスの光景が、外国人にとっては「???」 のようなのです。 確かに、子供の頃に読んだ絵本などでは、テーブルの上にあるのは フライドチキンではなく、七面鳥ですよね・・。 「なぜ、チキンか?」というのは、欧米の学習者だけでなく、他の地域の 学習者も「?」なのだそうです。 う~ん。日本では七面鳥はあまり馴染みのない鳥ですから・・。 そして、更に「?????」なのが、「苺のケーキを食べる」こと。 この話をすると、どの国の学習者も目が点「(・ ・)」(まさにこんな表情 です)になり、一瞬「・・・・」と沈黙します。 フライドチキンを食べることよりも、不思議なことのようです。 ちなみに、「じゃあ、みんなの国では何のケーキを食べるの?」と聞くと、 一番多いのが「ケーキは食べない」という答えです。 クリスマスのプレゼントについても、面白いことがあります。 外国では、「良い子にはプレゼントをあげ、悪い子には何もあげない」 というのが主流だそうで、悪いことばかりしていると、本当にもらえないそう です。 日本でも、親は「いい子にしていないと、サンタクロースは来ませんよ」 みたいなことを言いますが、結局は良い子も、悪い子ももらっているように 思うのですが、どうなんでしょうか。 ちなみに、ヨーロッパでは、悪い子には石炭がプレゼントされる国も多いそう です。 朝起きて、重い箱(靴下?)をあけて、石炭が入っていたら、子供はショック でしょうね。 |
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