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外国人が「???」と思う日本人の日本語
2016-06-29 Wed 18:09
授業後、学生たちと駅まで一緒に帰っていたときのことです。
駐車場に「子供は危険ですから、ここで遊ばないでください。」という看板が
ありました。
これを見て、カナダ人の学習者がこんな質問をしてきました。
「先生、日本の子供はそんなに悪いことをするのですか?」と。

日本人は、この看板に書かれている文の意味は「ここは危ないから、子供は
遊ぶな」ということだと分かります。
しかし、外国人はこの文の書き方だと「子供=危険。だから、ここで遊ぶな!」
という意味で解釈してしまう可能性があるのです。
彼らに正しく文意を伝えたいなら、「危険ですから、子供はここで遊ばないで
ください」と書く必要があります。

こんなふうに、私たち日本人にとっては、何でもない文が、外国人にとっては
「???」となるものが多くあります。

例えば、嘘をついた人に向かって「嘘つけ!」と言うこと。
これを聞いた外国人は「?!?!嘘をつきなさいという命令?!?!」
驚きます。

更に、「やれるものなら、やってみろ!」と言う場合。
日本人なら、「やるな!」と言われていると理解できますが、外国人は
「やってみろ」と許可を得たと勘違いしてしまいます。

他にも、ダイエットのキャッチコピーにある「こんにゃくは太らない」という
日本語。
これも外国人には「日本では、こんにゃくは太ったり、痩せたりするの??」
と意味不明な文に聞こえます。
(この文は日本語教師の間では「こんにゃく文」と呼ばれているんですよ)

この「こんにゃく」の文と似ているのが、「うなぎ文」と言われるもの。
レストランで、何かを注文するときに
「俺はカツ丼!」
「俺はうなぎ!」

というのも、外国人にとっては「???」です。
「えっ?あなたはうなぎなの?人間じゃないの?」というように。
(この文も日本語教師なら誰でも知っている有名な文です)

日本人にとっては何でもない表現(言い方)ですが、指摘されてみると、
「う~ん。なるほど。そう理解するのか・・」と考えてしまいますね。



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「人」:「ひと」、「ニン」、「ジン」の読み分けのルール
2016-06-27 Mon 18:43
漢字を勉強する外国人から出る悲鳴。
それは、「どうして同じ漢字に、色々な読み方があるの~!!╬」です。
これは、中国や台湾などの漢字圏の学習者からも出る意見です。

例えば、「人」という漢字。
この漢字は画数も少なく、よく使うものなので、大変早い段階で学習します。
しかし、その読み方に「ひと」、「ニン」、「ジン」が出てくると、
外国人はイライラ・・・ 
『先生!「ひと」と「ニン」と「ジン」のルールを教えてください!!!!』と
大合唱します。

実は、これは日本語教師泣かせのリクエストなのです。
「人」の読み方にはある程度の傾向はありますが、例外も多く、「はい、これが
100%のルールです!」と言い切れないのです。

しかし、「ある程度の傾向」はありますので、今日はそれをご紹介します。

①「人」という漢字を単独で使用する場合(漢字熟語にしない場合)は
 「ひと」
と読む。
  (例)この人、男の人
  → これは外国人にとっても簡単なルールです。

問題は、「人」を「ニン」、「ジン」と音読みするときです。

②「人」の前に「人の動作を表す語」がくる時は「ニン」と読む。
 (例)仕掛け人(仕掛ける人)、世話人(世話をする人)、
    管理人(管理する人)

③「人」の前に「人の属性・状態を表す語」が来ると、「ジン」と読む。
 (例)日本人(日本の人)、美人(美しい人)、老人(老いた人)

④「人」の前に数を表す言葉がくる時は「ニン」と読む。
 (例)三人、十人

というような傾向があります。
しかし、実際は、「一人(ひとり)」、「二人(ふたり)」や、「悪人」は
「悪ジン」と言わず、「悪ニン」というなど例外も多いので、結局は、
地道に覚えましょう・・というのが正攻法です。
しかし、ある程度の傾向があることを知れば、「こう読むのかな?」という類推
ができるようになります。

私たち日本人はこういった傾向を感覚で理解しているので、例えば「●●人」と
いう新しい語彙が出てきた時も、「ジン」と読むのか、「ニン」と読むのかを
類推して読むことができるのです。

外国人だけでなく、日本人の子供も、何となく覚えるのではなく、こういう傾向
があるんだよ・・ということを知ると、漢字を覚えるのが少し楽しくなるかも
しれませんね。

  


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「右」を辞書で引いてみると・・・
2016-06-22 Wed 18:04
大学で「日本語教授法」という授業を受けていた時の話です。
教授は私たち学生に「国語辞典に頼って日本語を教える危うさ」を体感させ
たかったようで、色々な辞書を持ってきて、私たちに「右の意味を調べなさい」
と指示しました。

皆さん。「右」の意味を辞書で調べたことがありますか?
私は調べたことがありませんでした。
改めて「右とは?」を調べて、驚きました。
各辞書の説明は、次の通りです。

・南を向いたとき、西にあたる方(広辞苑)
・アナログ時計の1時~5時までの表示がある側。(新明解国語辞典)
・この辞書を開いて読むとき、偶数のページのある側(岩波国語辞典)
・人体を対称線に沿って二分したとき、心臓のない方。
 (大修館書店 明鏡国語辞典)
・人のからだで、心臓のない側。また、野球で言えば、キャッチャーから見て、
 一塁側にあたる方角。(三省堂 例解国語辞典)
・大部分の人が食事の時、箸を持つ側。(大辞泉)

調べる前は、「右なんて簡単な言葉、どんな辞書も同じように説明している」
と思っていたのです。
しかし、簡単だからこそ、定義が難しいと感じました。
しかも、「外国人に日本語を教える」という視点に立つと、「野球は知らない」
という外国人は大勢いますし、「箸を持つ側」というのも、左利きの場合は、
勘違いされる可能性があります。

(私たち日本語教師は「右」をどう教えるか・・というと、言葉で説明せず、
体を使って「右」、「左」を見せるだけです。)

ちなみに、教授によると、「右の意味を調べてみる」というのは、自分に合った
国語辞典を探す時にも有効な手段
とのことです。
その説明が自分にとって「なるほど」と思えるものは、相性が良い辞書だそう
です。皆さんも機会があれば、書店や、図書館で「右」の意味を調べてみて
ください。面白いですよ。


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雨が「降り始める」と「降り出す」はどう違う?
2016-06-20 Mon 20:41
梅雨になりましたが、雨の日が少なく、関東は水が心配ですね。
また、暑くなってくると、いわゆるゲリラ豪雨も心配です。

この「雨」にちなんで、今日は「降り始める」と「降り出す」はどう違うのか
をテーマに書きます。

雨が[降り始める/降り出す] 。
こう並べると、どちらも同じように思えます。
しかし、私たち日本人は無意識の内に使い分けています。

次のA)、B)の例文。
「始めた」と「出した」のどちらの方がしっくりくるか考えてみてください。

A)よく晴れていると思ったら、急に雨が降り[始めた/出した] 。
B)天気予報で言っていた通り、夕方から雨が降り[始めた/出した] 。

いかがでしょうか。
A)は『降り「出した」』の方が、B)は『降り「始めた」』の方がしっくり
きませんか?

実は、私たち日本人は、次のように使い分けています。
・「急に」とか、「突然」など、その行為・動作が予想外であったり、
 予測できない場合は「~出す」
を使う。
予測できる場合は「~始める」を使う。

辞書を見ると、「~出す」の説明には「~始める」と同じ・・という定義が
されていますが、実生活では無意識に使い分けているのです。

みなさん、今週は天気予報をよ~く聞いてみてください。
お天気キャスターも、無意識に使い分けているはずですよ。


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「令夫人」の男性版は何?
2016-06-15 Wed 18:02
ある国の大使館員に日本語を教えていた時のことです。

その方は外交の仕事を日本語でするので、日本語はペラペラなのですが、
ある日、「先生!助けて!!!」と電話をしてきました。

大使館員:今度、大使館のパーティーに●●大臣を招待します。
     その招待状を書くのですが、とても困っています。
私:どんなことに困っているのですか?
大使館員:私が日本に来てから今まで、日本の大臣は男ばかりでした。
     しかし、今回の大臣は女性です。
     パーティーには大臣の配偶者も招待します。
     今までは大臣の名前の後に「令夫人」と書けばよかったのですが、
     今回は配偶者が男
です。
     男の時は何と書けばいいのですか??
私:・・・・・。

この質問には、困りました。
日常的な会話でしたら、「ご主人様」とか、「旦那様」だと思うのですが、
招待状などの改まったものの宛名にはもっと硬い表現があるような気がした
のです。

そこで、辞書や手紙の書き方辞典、ビジネス文書辞典などを調べたのですが、
「令夫人」の使い方は書いてあっても、男性版は説明がありません。
色々探して、外務省の文書に「●●国首相■■閣下 および 同夫君」と書いてある
のを見つけました。

「夫君」
言われてみれば、なるほど・・ですが、使うことがほとんどない言葉。
いい勉強になりました。

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「~ごとに」と「~おきに」
2016-06-13 Mon 21:57
今年はオリンピックイヤーですね。
オリンピックは4年ごとに開催されます。

・・と当たり前のことから始まった「日本人が知らない日本語の仕組み」。
本日のテーマは「~ごとに」と「~おきに」です。

「~ごとに」と「~おきに」は、行為・状態が繰り返されることを表す言葉です
が、全く同じ使い方というわけではありません。
むしろ、外国人に教えるときは、注意が必要な言葉です。

これは、私がまだ駆け出しの日本語教師だった頃に、実際にあった外国人からの
質問です。

学生:先生。「バスは10分ごとに来ます」と「バスは10分おきに来ます」は
   「10分に1本バスが来る」という意味ですね。
先生:そうですよ。
学生:では、「1週間ごとに病院に行きます」と「1週間おきに病院に行き
   ます」は「1週間に1回病院に行く」という意味ですね。
先生:う~ん。違いますね。
   「1週間ごとに病院に行きます」は「1週間に1回病院に行く」という
   意味ですが、「1週間おきに病院に行きます」は「2週間に1回病院に
   行く」という意味です。
学生:え?!?!?!
   どうしてですか??
   「10分ごとに」と「10分おきに」は同じ意味なのに、どうして
   「1週間ごとに」と「1週間おきに」は違う意味になるんですか?
先生:ええっと・・・。(汗)

この質問を受けるまで、私は「~ごとに」と「~おきに」の違いなんて、
考えたこともありませんでした。

学生の質問に答える為に、違いについて手元の辞書を引いても、何も書かれて
いません。
当時はインターネットなんていう便利なものもありませんでしたから、自力で
答えを見つけるしかありませんでした。
結局、いろいろ例文を考えて気づいたのが、私たち日本人は
①「秒・分・時間」+「~ごとに/~おきに」は同じ意味として使っている。
②「日・週間・月・年」+「~ごとに/~おきに」は違う意味として使って
  いる。

ということです。

例えば、
・ 30秒ごとに音がなるタイマー
・ 30秒おきに音がなるタイマー
は、両方共「30秒に1回音が鳴るタイマー」ということを言っています。

しかし、
・ 1日ごとに音がなるタイマー は「1日1回音がなるタイマー」という意味
  ですが、
・ 1日おきに音がなるタイマー は「2日に1回音がなるタイマー」という
  意味です。

どうやら、「~ごとに」と「~おきに」は小さい時間の単位では同じ意味となり
ますが、「日」以上の大きい時間の単位では違う意味で使われるようです。

ということは、
オリンピックは4年ごとに開催されます。
= オリンピックは3年おきに開催されます。
と外国人に教えなければなりませんね。


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